優しい嘘−最低な兄に恋して−【上】
「雪穂ちゃん」





えっ?知り合い?


今、あたしの名前を呼ばれたよね。



あたしはもう一度、振り向き車を見た。


車の窓が開けられて中を見ると、アヤさんだった。





「何してるの?ずぶ濡れじゃないの。とりあえず車に乗って」


「えっ?でも…」





びしょびしょに濡れてるから車が濡れちゃうよ。





「いいから、早く乗って。他の車に迷惑になってるから」





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