優しい嘘−最低な兄に恋して−【上】
母親の死を知って泣き崩れてしまった雪穂。



だから、家に帰るなって言ったんだよ。


こうなると思って。



俺は泣き崩れた雪穂を抱きしめた。




こいつの泣いてるところは初めてだな。


何度か我慢してるのは見た事はあったが。




延々と泣き続けた雪穂は俺の腕の中で眠ってしまった。


泣き疲れたんだな…。



俺は雪穂を抱きかかえてベッドまで運ぶ。




寝言なのかは分からねぇが『ママ…ママ…』とずっと言ってやがる。



ベッドで寝かしてからも雪穂の手を握りしめ、もう片方の手でお腹のあたりをトントンとガキをあやすみたいにしていた。



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