×隣のヤンキー少女×
●306号室=俺様男●
―――…
『やめなよっっ!』
涙で滲んだ景色。
数人の男の子の間に見えるのは、小さくたくましい 少女の姿。
『やべっ…
アミだ、逃げよーぜ!』
普段の可愛らしい顔からは想像できないくらい
彼女の表情は怒りに満ちていた。
『…アミ…ちゃん』
すぐに自分のもとに駆けつけた彼女。
涙をぐっと拭うと、彼女の心配そうな顔が、はっきり見えた。
『キリ…大丈夫!?』
『…うん、ありがとうアミちゃん。 …ぐすっ』
体は大きい方ではないけれど、亜美は幼い頃から空手を習っているおかげで、
学校でいばってるようなガキ大将にも勝てるくらい、強かった。
それに比べ紀理は…
『また あの子たちに何か言われてたの?』
『…男のくせに、ちっせーな、って言われた』
体は細く、背の順で並んでも いつも前の方
風邪をひくことも珍しくなく
気も弱かったために、クラスのいじめられっ子だった。