×隣のヤンキー少女×
「いつも つるんでる奴らは、同じ学校なの?」
「………」
階段を降りている間も、話しかけるが 無視。
俺は亜美の少し後ろを歩いている。
ぽつ…ぽつ……
「あ…」
「雨?」
マンションを出てしばらくすると、雨が降ってきた。
「亜美、傘もってる?」
「……無い」
こっちを振り向かず答えた。
「じゃあ…」
俺は傘、持ってんだ。
たまたま天気予報 見たから☆
「…!?」
「入れてやんよ、亜美ちゃん♪」
言葉にするより先に、傘の中へ亜美を入れた。
「…いい。タオル持ってるから」
「これから結構 降ってくるよ? 風邪ひくじゃん。
お言葉に甘えとけって」
「……うざい」
そう言いながらも、そっぽを向いて 俺の隣を歩く亜美。
“可愛いー”
って言ってしまいそうになったが、これを言うと行ってしまいそうなので やめた。
「亜美、駅まで?」
「……ん」
「りょーかい」
にっと笑ってみせて、駅へと足を進めた。
「…アンタは?」
「俺?」
一瞬、亜美が何を尋ねたのか分からなかった。
「アンタも駅でいーの?」
「あ、ああ…。 俺も駅からだよ」
送ってもらうの、悪いと思ったのか。
…やっぱ、中身は変わってねんじゃん。
おばさんが言ってたとおり、見た目はこんなでも亜美は優しいんだ。
そう思ったら少し、嬉しくなったのと同時に 安心してる俺もいた。