×隣のヤンキー少女×
「じゃ、ここで」
乗る電車は反対側。
俺は改札口へ向かった。
「あ……」
「…? なに?亜美」
「…………サンキュ」
少し下を向いて、ほんのり赤く頬を染めた亜美が そう呟いた。
「はは、いーよ。ついでじゃん。
なんならお礼はキスで…」
「消え失せろ」
…さっきまでの亜美は
どこへ行ったのやら。
「じゃ、亜美。
学校で煙草吸っちゃダメだよ?」
「うっせーよ、保護者か!」
「そんな気分かな」
不機嫌な顔をしたまま、亜美は改札口を出ていった。
ま、俺が見る限り いつも不機嫌か、アイツは。
「あれはあれで、魅力的だな」
不器用で、照れ屋で。
口は悪くても 優しさは昔のままで。
ヤバイね、俺。
亜美のいートコしか見えねぇわ。