×隣のヤンキー少女×




ガタンゴトン…



電車から見る
通りすぎていく景色も、今日は湿っぽく感じる。


ぼーっと外を眺めていると、永木が口を開いた。



「…咲坂くんてさぁ、モテるよね」


「え? いや別に…」



モテますよ、はい。



「噂では 全部断ってるらしいけど…、ホント?」


「あー、ホント。

なんで噂でながれるんだろーね」


みんなが知ってることが怖えーよ(笑)。


「そーなんだぁ。もったいなーい!

なんで? 心に決めた人がいるとかぁー?」


あはは、と永木は冗談ぽく尋ねる。



「そうそう、ずっと好きな人 いんだよね。俺」


「………」



しかもマンションの隣の部屋に。



「……まじ? うちのガッコ?」


永木は少し驚いている。


「違うよ。 ま、近くにはいるけど。俺の幼馴染み」


「へぇー…。 一途なんだあ」


「まぁね」



振り向かすのは大変そうだけど。



そーだ、駅着いたら
亜美のこと待っててやんなきゃな。





「ふーん…。そうなんだぁ。

あ、着いたよっ!」




電車を降り、改札口を出ると
雨模様は朝よりも悪くなっていた。





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