×隣のヤンキー少女×
しまった。
名前を…呼んでしまった。
だが、そう思った時には もう遅かった。
「…選んだ言葉が、それ?」
奴はにぃっと笑ってみせ、
チュッ…
楽しむように あたしの唇にキスをした。
「………っ!!」
言葉を発したはずなのに、キスをされ びっくりした。
「やべ、ホントにチューしちゃった…」
「は!? するつもりじゃなかったのかよ!?」
触らなくても分かるくらい、顔が熱い。
コウタにキスされた時は何もだったのに…。
「まーね。でも亜美が名前呼んだりするからさぁ…」
「……な………」
何故か、奴の頬が赤くなってる気がする。
それを見て 心がギュッて締め付けられたのが分かった。
「……なんで赤くなってんだよ」
「―!!
…………誰のせいだっつの」
「え?」
「なんでもねぇ」
奴は掴んでいた手を離し、中へ入って行ってしまった。
…………ん?
“中へ”……?
「――……おいっ!!」