×隣のヤンキー少女×





しまった。


名前を…呼んでしまった。


だが、そう思った時には もう遅かった。



「…選んだ言葉が、それ?」


奴はにぃっと笑ってみせ、



チュッ…




楽しむように あたしの唇にキスをした。




「………っ!!」



言葉を発したはずなのに、キスをされ びっくりした。



「やべ、ホントにチューしちゃった…」


「は!? するつもりじゃなかったのかよ!?」



触らなくても分かるくらい、顔が熱い。


コウタにキスされた時は何もだったのに…。



「まーね。でも亜美が名前呼んだりするからさぁ…」


「……な………」



何故か、奴の頬が赤くなってる気がする。

それを見て 心がギュッて締め付けられたのが分かった。



「……なんで赤くなってんだよ」


「―!!

…………誰のせいだっつの」


「え?」


「なんでもねぇ」



奴は掴んでいた手を離し、中へ入って行ってしまった。




…………ん?



“中へ”……?






「――……おいっ!!」





< 46 / 53 >

この作品をシェア

pagetop