×隣のヤンキー少女×
また、それかよ?
「…アンタどんだけ自意識過剰なの? あたしはアンタなんか…」
「キス、嫌じゃなかったでしょ?」
「……!?」
「さっき迫ったとき、もっと抵抗できたはずだけど。
それに、俺は亜美が キス受け入れてるように感じたし」
「……な……勝手こと言うなよ」
きっと、今あたしの顔は柄にもなく真っ赤だ。
鳴り止まない心臓も、落ち着かないこの状況は、全部コイツのせい。
「いい加減、素直になれよ」
「………っ」
真っ直ぐなコイツの瞳には、何も言い返せなくなる。
「……昔、ゆびきりげんまんしたの…覚えてる?」
そう口を開いたのは、あたし。
「……亜美?」
「あたしもアンタも、小さかったけど」
「………」
紀理は黙ったまま、あたしの言葉を待つ。
「………二人で、約束したんだ。
“大きくなったら、結婚しようね”って」
「―――!」
気づけば、知らないうちに小指を触っていた。
「亜美……」
「だからその約束、守ってくれる…?
アンタは覚えてないかもしれないけど……」
自分でも何を言ってるのか分からない。
何故か、あたしの目からは涙が溢れてきた。
「……それって…もしかして」
珍しく、紀理は驚いた顔をしている。
「――好きってこと!!
いちいち訊かないでよ……」
「―――っ!」
顔が熱くて目を伏せたあたしは、同じくらい頬を赤く染めた紀理に気づかなかった。