×隣のヤンキー少女×



また、それかよ?



「…アンタどんだけ自意識過剰なの? あたしはアンタなんか…」


「キス、嫌じゃなかったでしょ?」


「……!?」


「さっき迫ったとき、もっと抵抗できたはずだけど。
それに、俺は亜美が キス受け入れてるように感じたし」


「……な……勝手こと言うなよ」



きっと、今あたしの顔は柄にもなく真っ赤だ。


鳴り止まない心臓も、落ち着かないこの状況は、全部コイツのせい。




「いい加減、素直になれよ」


「………っ」



真っ直ぐなコイツの瞳には、何も言い返せなくなる。






「……昔、ゆびきりげんまんしたの…覚えてる?」



そう口を開いたのは、あたし。



「……亜美?」


「あたしもアンタも、小さかったけど」


「………」



紀理は黙ったまま、あたしの言葉を待つ。



「………二人で、約束したんだ。

“大きくなったら、結婚しようね”って」


「―――!」



気づけば、知らないうちに小指を触っていた。



「亜美……」

「だからその約束、守ってくれる…?

アンタは覚えてないかもしれないけど……」




自分でも何を言ってるのか分からない。


何故か、あたしの目からは涙が溢れてきた。



「……それって…もしかして」



珍しく、紀理は驚いた顔をしている。




「――好きってこと!!

いちいち訊かないでよ……」


「―――っ!」



顔が熱くて目を伏せたあたしは、同じくらい頬を赤く染めた紀理に気づかなかった。





< 51 / 53 >

この作品をシェア

pagetop