ダブルハーツ
差し出された手を跳ね退けた。
遠川さんは疑問符を顔に浮かべている。
「どうしたの?何かあったの?」
「今後一切私の姿を見ても、声をかけないでください……」
思い出すから、お兄ちゃんとの日々を。 遠川さんはお兄ちゃんじゃない。
お兄ちゃんじゃないのよ。
なのに……
「泣きながらそう言われても、俺には通じないな」
目の前がぶわっとボヤけてきて、涙がたまってくる。
頭にポンッと何かが載った。
「場所、変えようか?公園へ行こう」