ダブルハーツ





明葉 side


私は待っていた。
置時計の長針と短針が、深夜を指している。
いつものごとく、玄関からガチャッと音が上がった。
私は部屋を出る。


「あ……」


軽く会釈し、


「おかえりなさい……」


「え?あっあ、うん!只今」


アサトはちょっと戸惑ったようだけど、

「昨日のお礼がしたかったの」


ん、と私はアサトの胸に綺麗に包装した袋を押し付けた。
帰ってきて作ったクッキー。
何年ぶりに作ったんだろう?
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