ダブルハーツ
「別に大したことしてないよ、俺……」
「あっそう。じゃあ返して」
奪いかえそうとする私に、固くガードをするアサト。
「いいえ、有り難く頂戴します!」
「フフッ……」
「アハハ……」
お互い自分のしてることに小さく笑い、この期に私とアサトの距離は縮まった。
「――おはよう」
寝苦しい夜が続くようになり、いよいよ夏季休暇が始まった。
リビングに降りると、吹き抜けのキッチンにお母さん。
それを背に新聞を読むお父さん。
右隣に夏太郎兄さん、アサトと続いてダイニングテーブルを囲んでいた。