ダブルハーツ
とくん。
とくん。
アサトはなんて答えるの?
「ですが父はともかく、母が……」
「だからこそ今の時期だから、話しあったほうがいい」
アサト……
暗がりの階段でじっと身を潜める。
大きく鳴る鼓動に息を飲む。
「おじさんとおばさんがそこまでおっしゃってくれるなら――」
最後まで話を聞かず、反転して上る。
部屋へ戻るとキャリーケースをクローゼットから取り出した。
「それでは行ってきます」
2日後の朝――