ダブルハーツ


気が合いそう?
そんなこといわれたの、初めてだ。
高校入学してから、私は人を避けてきた。
誰かと目が合えば徹底的ににらみ返して、人を近寄らせないようにしていた。
なのに、彼女は私と友情ごっこでもしたいっていうのか。


「あ~しょうがない。5時限目はサボっちゃおう」

「嫌よ――」


腰を上げた瞬間、恥ずかしい程にお腹が減った。


「へへッ。ほらやっぱり」


上村ちさとの弁当を持つ腕が、私に掲げた。
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