ダブルハーツ


「お兄ちゃんは寮のある高校に入学されて、引き剥がされた。でもそれでもお互い好きだから――」

「……?!」


仲根さんは、肩をすぼめて息を呑んだ。現れたのは、左脇腹からヘソに向かった深い傷。


「私だけ生き残っちゃった」


心中の名残。
ごくりと仲根さんが唾を飲み込むのが、響く。
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