王子様の秘密-下-
「椿谷が別れたってほんと?」
「…ああ、成弥からそう聞いた」
さっきまでの私の笑みは、一瞬にして消えた。
聞きたくないような…
聞きたいような…
また、矛盾。
別れ話を聞いて、喜ぶ自分がいる。
それが、嫌なんだ。
「…でもまぁ、なんと言うか…
前々から二人仲良かったわけじゃないじゃん?」
「…私達が見た限りじゃ、キスしてたくらい、か…」
ズキッ
成弥と神崎さんのキス…
思い出すと、胸が痛んだ。
「その日、俺と成弥…
桜木ちゃん達が危ないところに遭遇して、さ…」
「…え、初耳…」
「言ってねーもん。
あのときの成弥は本気で…俺でも恐かったよ」
あのとき…
神崎さんの顔…
泣いてた…
好きな人にあんなこと言われたら、それは傷付くよね…?
神崎さんは泣くくらい、成弥が好きだったんだ…
「でもさ…
アイツ矛盾してんだよな、言ってること。
彼女じゃないのに付き合ってるとか…」
「あ、それは私も聞いた!」
でも…
あのときは、神崎さんも様子がおかしかった。
まるで…
人が変わったみたいに…
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