王子様の秘密-下-



「桜木ちゃん、アイツと神崎、あのとき何て言ってたか覚えてる?」

「…覚えて、ない…」



あのときはただ…

怖くて…

でも、成弥が来てくれて…

大きな安心感があった。


それだけしか覚えてない…



何を言ってたかなんて…

覚えてるわけないよ…



「成弥さ、聞いても詳しいこと一つも言わないんだよなぁ…
親友が、ノロケなら聞くって言ってるのに」



気付けば、自習室にいる全員が、恭平君の言葉に耳を傾けていた。



「成弥に彼女とか、急すぎたし…
神崎は成弥にとって対象外なことくらい知ってたよ」



静かな自習室には、恭平君の声だけが響いていた。



「後からなんだけど…
気になる言葉がちょっと、ね」

「“気になる言葉”?」

「うん」



私が聞くと、恭平君は頷いた。



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