王子様の秘密-下-



「大変だったんだな。
いろいろあって、疲れただろ?」

「……………」

「桜木は、よく頑張った」

「…グスッ…っ」



“よく頑張った”

私なんかに、その言葉をかけられる資格はない。


でも…

今までのいろいろな思いがはちきれて、私は涙が溢れ出した。


泣き止むまで、九条君は優しく頭を撫でてくれていた。



やっぱり…

九条君といると安心する。



「…もう大丈夫か?」

「うん、ごめんなさい。
あの…部活まで…」

「好きな奴が困ってたら、誰だって助けるだろ?
謝らなくていいよ」



私…

九条君に告白されてたんだ…


好きな人から恋愛相談なんて…

ひどいことしちゃった…



「ごめん、九条君…」

「もういいから。
次“ごめん”って言ったら、その口塞ぐからな?」

「…九条君?」

「俺だって、本気だけど?」

「……………」


真顔の九条君に対して、何も言えなくなってしまった。



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