王子様の秘密-下-



「…ありがとう。
私、気持ち伝えるよ」

「よし、その意気だ!」

「ありがとう…九条君」

「そんなに言うなって…」



見ると、九条君の顔が赤くなっていた。



「桜木…
この前の告白、あれの返事はもういいから」

「え?」

「さっきの話聞いてたら、桜木の気持ち伝わって来たし…
俺、そいつをうらやましく思うよ」

「九条君…」

「桜木なら、きっと上手くいくよ。
惑わせるようなことしたけど、俺は気持ちが伝われば充分だったから…
断られるの承知で告白したんだよ」



あはは、と笑う九条君を見ると、切なくなった。


九条君…

こんなに良い人だもん。

私よりきっと九条君にふさわしい人が現れるよね?



「椿谷、だろ?」

「……えっ!?」

「職員室前で話してたとき…
あれ、わざとジャマしたんだ。
桜木があまりにも見たことない顔してるから、つい…
悪かったな」

「そうだったんだ…」



九条君がそんなこと思ってたなんて…



「上手くいくよ。
気持ち伝えることにびびるなよ?」

「…うん!!
ありがとうっ」

「だからぁ…
そんな笑顔で言われると…」

「ふふっ
九条君の顔、真っ赤」

「…桜木っ」



九条君は怒った口調だったけど、顔は笑っていた。


良かった…

気まずくもならなくて…


私も九条君に笑い返した。



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