王子様の秘密-下-
「はい♪
サービスであげちゃうよ」
「かわいいっ♪
ありがとうございます!!」
店から戻って来たお兄さんの手には、一輪の赤いチューリップ。
しかも…また造花。
花屋で造花をもらうなんて…
でも、私は嬉しかった。
そんな私に、お兄さんは思い出したように言った。
「この前ね、ある男の子が来たんだよ。
チューリップ見てある人を連想したらしくて…
思わず声かけちゃったよ、君みたいに♪」
「え?」
「大切な人が遠くに行くんだってさ。
だから、君と同じように、チューリップあげたの」
もしかして…
「黄色のチューリップの花言葉は“望みのない恋”」
それって…
「君にあげた赤いチューリップの花言葉は…“愛の告白”」
成弥…?
「お嬢さん、告白がんばってね♪」
「はいっ!
ありがとうございますっ」
笑顔のお兄さんにお礼を言って、栞の所へ向かおうとしたとき。
「あれ?桜木ちゃん?」
「あっ、恭平君」
たまたま恭平君に会った。
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