王子様の秘密-下-

[陽菜ver,]


「お二人さん、おっつかれ~!」

「桜木ちゃん助けてぇ…」



私と成弥が自習室に入ると、栞が恭平君の首を絞めにかかっていた。



「ちょっ、栞!?
恭平君死んじゃう~っ」

「こんな奴、一回死んだ方が良いと思うけど?」

「さ、桜木ちゃーん…」

「栞ぃーっ!!」

「分かったよ、放すってば」



栞が恭平君から離れて、恭平君は苦しそうな顔で笑った。



「ありがとう、桜木ちゃん…」

「もー、何したの?」

「それが…」

「高峰!
…次は殴るよ?」

「…俺は深川の機嫌損ねたようです、はい…」



栞に睨まれ、しゅんとする恭平君。


…ほんとに、何したんだろ?

後で栞に聞いてみよ…



「陽菜、もう帰ろ?」

「あ、うん…っ」



もうちょっと…

成弥と話したかったなぁ…


名残惜しく成弥を見ると、目が合ってしまった。



「もう帰んの?」

「あ、うん」

「そっか。
じゃあな?」

「またね」



最後に成弥が笑ってくれた。


“また”…

ここに来ればみんなに会える。


…なんて、甘い考えだったことをすぐに後悔することになる。



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