王子様の秘密-下-

[成弥ver,]


忘れてた…

早くアイツを捜さねぇと…


何やらかすか分かんねぇ…




俺は自習室を出てから、人気のない廊下で、携帯を取り出した。



『ﾌﾟﾙﾙﾙ…』


電話のコール音が数回聞こえた後、電話は繋がった。



『…もしもし？』

「…神崎…」



相手はさっきみたいなヒステリックな状態でなく、落ち着いていた。



『…なに？』

「さっきは、その…
悪かった…ごめんな」

『ううん、そんなことないよ。
成弥君の彼女だって言ってたら、悪化するところだったもんね…』



甘ったるい声で、俺のご機嫌をとろうとする神崎に、心底イラついた。



『ひろみ…
桜木さんがちょっとうらやましくて…
ごめんね、成弥君』

「いや、別に良いんだよ」



この様子だと、まだばらしてないみたいだな…

間に合ったか…


俺は安堵の息をついた。



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