王子様の秘密-下-



「確かに…
陽菜が好きなのは、あくまでも表面だけの“椿谷”」

「うん…」

「でもさ?
陽菜がため息つくのって…
陽菜が知ってる“椿谷”のことを考えてるときでしょ?」

「……………」

「陽菜っ
そろそろ自分の気持ちに気付かないと!
椿谷なんて、いろんな人が狙ってるんだからね?
それに比べて、陽菜は有利なところあるんだし…」



“自分に正直になりなさい”

栞はそう言い残して、自分の席に戻って行った。




自分の気持ち…


正直に…


、かぁ…




そんなことを考えていたから、授業は全く頭に入るわけがなく…

その日は一日中、頭の中は成弥のことでいっぱいだった。



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