王子様の秘密-下-
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「成弥君~」
「…神崎さん?」
俺は得意の偽りの笑顔を神崎に向けた。
それを見た神崎は、顔を赤くさせた。
「あの…っ
ちょっといいかな?」
「あー…うん。
まだ時間なら大丈夫だよ」
…めんどくせぇ。
せっかくの放課後だってのに、帰りが遅くなるな…
俺達は、空き教室に入った。
…神崎の意思で。
「あのさ…成弥君」
「なに?」
「私と…付き合ってください!!」
やっぱり、か…
いつもなら軽く流せるのに、俺にも“本命”と言うものができてからは、厄介で仕方なかった。
よりによって、同じクラス。
同じ委員。
…はぁ、めんどくせぇ。
「気持ちは嬉しいんだけど…
付き合うって言うのは…」
「知ってる。
桜木 陽菜さん、でしょ?」
「………!!」
俺の反応を見て、確信したのか、神崎はクスッと笑った。
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