王子様の秘密-下-



「…はぁっ…はぁ…」



私、バカだな…

また戻って来ちゃったよ…



気付いたら、さっきまでいた自習室の前に立っていた。


涙で視界はぐちゃぐちゃになっていたし、授業に出れそうもなかったから、迷わず自習室のドアを開けた。



ガラ…



誰もいない自習室は初めてで…

なんだか寂しかった。





「…グスッ……」



成弥のさっきの言葉を思い出す。


“俺達が付き合ってるのは本当だ”



成弥は、神崎さんが彼女だと言うことを否定したけど…

あんなの見ちゃったら…

嫌でも、分かっちゃうじゃん…




それに…


教室にいた神崎さんが、一瞬笑った気がしたんだ。


神崎さんは私に気付いていた…


そして、勝ち誇ったような笑みで、私を見ていた…



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