王子様の秘密-下-



ドキッ

さっきの光景を見たせいか、唇に意識がいってしまった。


良かった…

寝てるなら大丈夫、か…


気まずい、とか言うのは無かった。


ただ…

ドキドキと比例して、やっぱり胸は痛かった。





「…陽菜…」

「へ!?」



え!?嘘!?

成弥、起きてた!?



「…ごめん…」

「…え?」



“ごめん”?



「……………」



寝言…?

寝言で“ごめん”って…?

何か、した?





「…ん」

「きゃっ!!」

「…………陽菜?」

「…す…すみません。
寝ているところを…」

「あ…いや…」



今度こそ目を覚ました成弥が、不思議そうに私を見た。

…驚かれるよりはいいけど。



「……………」



それにしても…

気まずい…


何か話そうとしても、たどり着くのは、さっきの光景。

その度に、胸を痛めた。



「…授業は?」

「あ…あはは…
その…さぼりました…」

「ったく…」



相変わらず偉そうな成弥君ですね…


自分だって、授業さぼってるじゃん…



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