王子様の秘密-下-
「…泣いた、のか?」
「っ!!
ち、違うよ!!
目に埃入ったの!
ほら、ここあんまり使わないから埃っぽくて…」
「……………」
ビックリした…
ごまかせた気がしない…
でも、成弥は無言だった。
「自分と、好きな奴…」
「え!?」
「陽菜なら、どっちを取る?」
「そ、それは…」
急に言い出したことに驚いた。
一瞬迷ったけど、答えなんてこれしかないと思う。
「好きな人…かな?」
「…なんで?」
「だって、一緒にいるだけで充分なんだもん。
好きな人が笑ってたら、私も笑えるんだ。
自分も大切にしたいけど…
やっぱり自分にとって必要な人だったら、応えなきゃならないと思うの」
「……そっか」
成弥は優しく笑った。
…ほら。
それだけで私だって、笑顔になれちゃうんだよ?
「…神崎さん?」
「アイツは違ぇよ」
「そ、そうなんだ…」
違くないでしょ…?
成弥の好きな人は、神崎さんなんでしょ?
何か…
あったのかな…?
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