王子様の秘密-下-



「…泣いた、のか?」

「っ!!
ち、違うよ!!
目に埃入ったの!
ほら、ここあんまり使わないから埃っぽくて…」

「……………」



ビックリした…

ごまかせた気がしない…


でも、成弥は無言だった。



「自分と、好きな奴…」

「え!?」

「陽菜なら、どっちを取る?」

「そ、それは…」



急に言い出したことに驚いた。

一瞬迷ったけど、答えなんてこれしかないと思う。



「好きな人…かな?」

「…なんで?」

「だって、一緒にいるだけで充分なんだもん。
好きな人が笑ってたら、私も笑えるんだ。
自分も大切にしたいけど…
やっぱり自分にとって必要な人だったら、応えなきゃならないと思うの」

「……そっか」



成弥は優しく笑った。


…ほら。

それだけで私だって、笑顔になれちゃうんだよ?



「…神崎さん?」

「アイツは違ぇよ」

「そ、そうなんだ…」



違くないでしょ…?

成弥の好きな人は、神崎さんなんでしょ?


何か…

あったのかな…?



,
< 65 / 165 >

この作品をシェア

pagetop