王子様の秘密-下-



立ち上がった私を見て、さらに笑うのは…神崎さんと2人の女の子。



「桜木さん、あの汚いジャージで授業受けたの?
恥ずかしくなかったぁ?」



“あの汚いジャージ”って…

犯人は神崎さんなの…?



「…私、何かした?
神崎さんに何か悪いことした?」



神崎さんの目を見て聞いた。



「人の彼氏誘惑するのやめてくれない?
迷惑なんだけどぉ…」

「……………」

「あれ、無言?
黙っちゃったぁ?
成弥君かっこいいから、モテるの仕方ないけど…
あんたみたいな奴はうざくて困るのよね」



なんで…?

この前、成弥が私をかばったから…?



「おいっ
お前らやめろよ!」



私の後ろから聞こえた大きな声。

振り向くと、怒った顔の九条君がいた。



「やだぁ!
桜木さんって、そうやって何人を騙してるの?」

「騙してなんか…っ」

「最っ低!
色目使ってばっかりなんだね?」

「違っ…」

「桜木、もう相手にするな。
深川も、早く教室戻らないと遅れるぞ」

「あ、うん…っ」



九条君に促され、私達はその場を後にした。


そのときの神崎さんの怒った顔を…

きっと私は忘れられない。



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