王子様の秘密-下-
「あ、おいっ!!
何してんだよ!?」
九条…君…
九条君の声で、女の子は私の手の上から足を離した。
そしてすぐに、顔の色を変えて走って行った。
「大丈夫か?」
「…うん…
あは…恥ずかしいとこ見せちゃったね…」
「桜木!!
笑うなよ!!」
「…無理だよ」
笑うな、なんて…
無理に決まってるじゃん…
せっかく堪えてたのに…
涙が流れちゃうじゃん…っ
「…今の桜木、見てられない」
「あの…迷惑かけてごめんね?
クラス委員だからって、私のこと気にしなくても…」
「桜木だから気になるんだけど?
…泣きそうな桜木ほっとけないよ」
「え…?」
九条君が、私と同じ視線になるためにしゃがんだ。
そして、耳元で囁くように言われた。
「…俺、桜木のこと好きだから」
……へ?
「言っておくけど、まじな話だからな?」
「…えええぇぇ!?」
「はい、教科書。
それにしても…ひどすぎだろ」
驚いたままの私に、何もなかったような顔で教科書を渡す九条君。
わ、私…
告白された…よね?
それも、あの九条君に…
教科書やイジメなんかよりも、九条君の言葉しか頭になかった。
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