王子様の秘密-下-



それから…


九条君に告白されたことを栞には秘密にしておいた。


“返事はいつでもいいけど、桜木の近くにいさせて”と真面目な顔で言われて…

九条君は前よりも、私に話かけてくれるようになった。


九条君の告白には疑いの一つもなかったし、心の中に何か大きく刻まれた気がした。




その一方で…

私に対するイジメは続いていた。


来るのは、成弥関連の女の子達…

先輩も後輩も関係なかった。


暴言や軽い悪戯があっても、決して暴力はして来なかった。


理由は簡単。

ばれて、めんどうなことにしたくないから。


ただ、それだけ。

先生にも、親にも気付かれないようにー…

毎日、陰でこっそり傷付けられていた。



私がイジメられていること、成弥は知らない。

その理由が、自身関係であることも…

成弥は知らないんだ。



代わりに、アニメに出てくるヒーローみたいに、九条君に助けられる日々が多くなった。


そのせいか…

私の想いは、いつしか、九条君に対してなのか、成弥に対してなのかが分からなくなってきた。



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