王子様の秘密-下-
「お前ら!!」
ほら、また今日も九条君に助けられた。
九条君の声、姿だけで、逃げて行く女の子達。
何が目的で、こんなことするの…?
私はあれから成弥とは関わっていない。
クラスも違うから会わないし、怖くて自習室にも行けなくなった。
…なんで?
いつになったら、終わるの?
「桜木…何された?」
「ううん、大丈夫。
九条君ありがとう」
「そうやって笑われると…まじで心配」
ありがとう。
でも、間違っても、弱い所は見せられないよ…
九条君に甘えたくない…
でないと…
自分が弱いのがばれちゃうから…
「ほんとに大丈夫だって!
ちょっとキツイこと言われるくらいだよ?」
「“ちょっと”って…」
「ほら、私自身は傷付けられてないし、ね?
聞き流しすれば平気だよ」
「……………」
嘘。
聞き流しなんてできないよ…
嫌でも耳に入って来る言葉の数々…
初めは忠告や悪口程度だったのに、今は存在否定されている。
精神的に傷付けられて…
ほんとは立っているのも精一杯なんだってこと…
きっと、九条君にはバレバレだったよね?
悲しそうに笑う九条君を見たら、苦しかった。
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