王子様の秘密-下-
さっき、ふと廊下に目をやると…
陽菜があの男と手を繋いでいた。
苛立ちがいつもにまして大きかった。
「九条君だねぇ」
「…あの男知ってんのか?」
「知ってるも何も…
ちょっとした有名人だよ」
隣で笑いながら言うのは、神崎。
コイツさえいなければ…
俺はあの繋がれた手を引き裂こうとでもしたんだろう…
「九条 隆平君。
なかなかカッコイイでしょ?
頭も良いし、桜木さんのクラス委員だよ?」
「……………」
「でも、成弥君が一番だからぁ!
ひろみは成弥君が好き♪」
コイツ…
俺が怒ってる主旨間違ってねぇか?
俺は無言のまま、絡まって来た神崎を避けた。
「九条君と桜木さん、お似合いだよねぇ」
「……………」
「あの二人、付き合っても良いのにねぇ」
「…付き合ってねぇの?」
「えぇ~、そこに興味持つ?」
神崎の反応からして、まだ付き合ってないらしい…
少しほっとした。
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