王子様の秘密-下-



「……………」

「成弥君、どうかしたの?」

「……………」



見間違いかもしれないけど…

最近、陽菜に影が見える気がする。


なんかあったのか…?



「なぁ」

「?」

「最近、陽菜に何かしてねぇよな?」

「…っえ!?」



目を丸くして、動揺を隠しきれていない神崎。


…コイツ!!



「…何したんだよ」



低い声で聞くと、神崎は泣きそうな顔をする。


そうやって逃げんのか?



「えっと…その…ちょっと遊んでみた、だけだよ?」

「神崎」

「ごっごめんなさいっ!!」

「俺と約束したよな?
何もしねぇって…」

「でも…っ」

「お前が裏切ったんだから、俺が裏切っても、文句言えねぇな?」

「それは…っ」



最低だな…


いや、陽菜が傷付けられていたのに気付けなかった俺もどうかと思う。


くそっ

もっと早く気付くべきだった…



「裏切るなんてひどいよ…
そうしたら私、余計に桜木さん虐めるからね?」

「………っ」



ほんと卑怯な奴だ…

こんな奴に捕まる俺が情けなく思い、拳に力を入れて、沸き上がる感情を殺した。



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