王子様の秘密-下-



そのまま、九条君と一緒にいれば良かったのかもしれない。

テストも終わり、告白の返事を思い出していた。


…なのに。

やっぱり、私は未練があるらしい。








「…何してんの?」



放課後、与えられた課題を終わらせ、職員室に行ったときだった。

職員室を出てドアを閉めると、後ろから懐かしい声がした。



「…っ」



成弥…


振り向くと、成弥がいた。

自習室のあれ以来、成弥を見かけなかった。

…いや、見ないようにしていたのかもしれない。


でも、目の前にいる成弥を見ると…

ドキドキが止まらなかった。


九条君といるときとは違う…

恋をしているときの“ドキドキ”



「…な、成弥は?」

「俺の質問無視かよ…」

「い、言えないもんっ」



赤点だ、なんて…

大介さんに家庭教師してもらったのに…


…言えるわけがない。



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