王子様の秘密-下-
「赤点」
「えっ?成弥も?」
「嘘。
“も”って、陽菜赤点かよ」
「…意地悪…」
「もとからこうゆう性格なんで」
意地悪そうに笑ってみせる成弥。
成弥の一つ一つにドキっとしてしまう私。
今までの辛さだって消え去れそうなくらい…
私は成弥が好き。
「俺は…」
「あっ、いたいた!
桜木!」
「…九条君?」
成弥が何か言おうとしたとき、九条君の私を呼ぶ声がした。
九条君が走ってきてくれて…
はい、と教科書を渡された。
「数学の教科書忘れてたよ」
「あっ!
気付かなかった、ありがとうっ」
「ううん、間に合って良かった」
九条君にお礼を言うと、九条君は笑った。
「取り込み中ごめんなっ
じゃあ、また明日」
「うん、バイバイ」
九条君は教科書を渡すと、もと来たへ走って行った。
今から部活に行くんだろうな…
それなのに、課題終わるまで手伝ってくれて…
明日もう一回お礼しよう。
「陽菜」
「あっ、ごめん…っ」
成弥の前であることをすっかり忘れていた…
,