王子様の秘密-下-
「陽菜は…今、幸せか?」
「え?
幸せ…かな?」
唐突な質問に驚きながらも答えた。
成弥と久しぶりに話せたし…
少なくとも、私は今、幸せだと思う。
でも、成弥はいつもの成弥と違う。
また切なそうな顔してる。
「…ごめんな。
俺のせいで傷付いたよな…」
「何言って…」
「今、幸せならいい。
アイツと仲良くしろよ?
不幸になったら怒るからな」
「成弥…?」
成弥はそれだけ言うと、私の髪をくしゃくしゃってして、微笑んだ。
…何があったの?
じゃあなと言って、成弥は職員室に入って行った。
成弥…
成弥のせいで傷付けられたんじゃない…
私の方こそごめんね…
迷惑かけた…
私の迷惑が、成弥をあんな顔にさせてしまったの…?
後ろ髪を引かれる思いで、職員室を後にした。
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