王子様の秘密-下-



「陽菜、どうするの?」

「何が?」

「椿谷、会長になったじゃん。
このままじゃ、きっと隙がなくなるよ」

「……うん。
でも、神崎さんが…彼女がいるから…」

「そうだけど…
噂聞いたでしょ?」



私は黙って頷いた。


成弥と神崎さんの噂…

“二人は上手くいっていない”


別れたと言う噂も聞いた。


だから…

成弥はあんな顔をしたのかな…?



「私…二人をジャマしたくない」

「そうかもしれないけど…
想いを伝えるだけでもしたら?」

「…いいよ…」



良くない噂のせいで、周りの目も変わってきた。

よけいに神崎さんが心配になる。


でも、そんなことを言っても…

結局頭にあるのは、成弥の切なそうな顔だった。






「桜木っ」

「九条君…?」

「頼みたいことあるんだけど…」

「なぁに?」



栞と私の間に入って来た九条君は、真剣な顔をしている。


…何だろう?



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