王子様の秘密-下-
でも、日が経つにつれて、そんなことをする暇はなくなっていた。
文化祭への本格的な準備がスタートしたんだ。
「はい、メニュー決めるぞー」
HRでは、クラス委員である九条君の進行での話し合い。
議論することもなく、ただただ候補が挙げられていく。
「やっぱり、飲み物大事でしょ?
みんな飲めるような炭酸がいいよー」
「カフェなんだから、食べ物も軽くした方がいいよ。
ミニケーキとかどう?」
次々と挙げられていくメニューの候補達。
…楽しそうだなぁ♪
そんな呑気な私に、衝撃的な情報が入ってきた。
「陽菜っ」
「んー?」
「高峰から聞いたんだけど…」
休み時間になるなり、急いで栞がやって来た。
「椿谷、神崎と別れたって…!」
「……え?」
「だから…」
「どうゆうこと…?」
二人が別れた…?
栞の真剣な顔を見ると、どうやら本当の話らしい。
恭平君から聞いたって…
成弥の友達だからこそ、よけいに信憑性がある。
別れたのが本当なら…
心の中で期待して喜ぶ私がいた。
でも…
それ以上に、あの切なそうな成弥の顔が浮かんだ。
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