王子様の秘密-下-
「…陽菜?」
「あっ、ごめん…」
「あのねぇ…
もう少し、自分優先してもいいんだよ?」
「…うん」
でも…
あの成弥の顔を見るのは、胸が張り裂けそうなくらい辛いよ…
「…はぁ。
今日の放課後、あそこに行こう?
高峰からいろいろ聞き出さないと…」
「成弥は…
神崎さんと別れて…
どんな気持ちなのかな…?」
つい思っていた本音が出てしまった。
それを聞いた栞が顔をしかめる。
「ひぃ~なぁ~!!」
「ゔ…怒らないでくださいぃ」
「まぁ、陽菜がどんな子なのか私分かるしね。
人を思いやるのも大事だけど、今は自分のことも視野に入れなよ?」
言い終わったときの栞は、怒っているどころか、笑っていた。
「でも、放課後は行くからね」
「…ゔ…
…あれ?放課後もいるの?」
「椿谷はいないと思うけど、高峰達ならいると思うよ。
アイツら椿谷の帰り待ってるだろうし」
「あ…そっか」
成弥いないんだ…
良かった、あの表情見なくて済む…
でも…
少しだけでも、会いたかったな…
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