空の彼方の君へ。
「ほ、んと?」
「うん」
「夢じゃない?」
そう言った疾風に思わず笑ってしまった。
「笑うなよ!そんだけ俺がお前のこと好きだと思ってんだよ!」
疾風の言葉にピタッと笑いが止まる。
そして、だんだん顔が赤くなって行く。
「沙希に1番近い男は俺って油断してた時に優斗に取られて、絶望的だった」
疾風は今だに抱き着いている私をギュッと抱きしめた。
「今、沙希が俺の腕にいるだけですげー幸せ」
そう言った疾風は、泣いているようで。
私はさらに強く疾風を抱きしめる。
「沙希はまだ、優斗が好きな気持ちもあるんだろ?」
「・・・うん」
ごめん、こんな私、嫌だよね。
少しでもほかの人を好きでいる私なんて。
でも、次に言った疾風の言葉に、私は大粒の涙を零した。