空の彼方の君へ。



「ほ、んと?」


「うん」


「夢じゃない?」


そう言った疾風に思わず笑ってしまった。



「笑うなよ!そんだけ俺がお前のこと好きだと思ってんだよ!」



疾風の言葉にピタッと笑いが止まる。


そして、だんだん顔が赤くなって行く。



「沙希に1番近い男は俺って油断してた時に優斗に取られて、絶望的だった」



疾風は今だに抱き着いている私をギュッと抱きしめた。



「今、沙希が俺の腕にいるだけですげー幸せ」



そう言った疾風は、泣いているようで。


私はさらに強く疾風を抱きしめる。



「沙希はまだ、優斗が好きな気持ちもあるんだろ?」


「・・・うん」



ごめん、こんな私、嫌だよね。


少しでもほかの人を好きでいる私なんて。



でも、次に言った疾風の言葉に、私は大粒の涙を零した。




< 100 / 108 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop