空の彼方の君へ。



疾風は美容師になって、自分のお店を経営した。


それを良いことに仕事を抜け出して私に会いに来ては店の人に連れて行かれている。


佐奈は野球少年と結婚して、専業主婦になった。


結婚して主婦になると聞いた時は掃除が苦手なのに!?なんて疾風とハモって言ってしまって怒られた。




とにかく、みんな幸せになっていた。


「疾風、また怒られちゃうよ?」


使われてない病室に連れて行かれてそう言うと疾風は苦笑した。


「まあ、愛しい沙希ちゃんに会うためですから」


しょうがないとでも言いそうな疾風。


甘い台詞をサラリと言えるのは変わっていない。



「私も会いたかった」


「あれ?珍しく素直じゃん」


「たまにはいいでしょ?」


「うん・・・」



疾風の顔がだんだん近づいてきて、自然と目を閉じる。


「・・・んっ」


触れるだけのキスをした後、疾風は甘く私の耳元で呟く。



「すごく可愛い」



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