空の彼方の君へ。



白い部屋。


ここは、この町で1番でかい病院の一室。



なんでも俺は病気らしく、幼い頃からこの部屋で過ごしてきた。



何の病気かは誰にも教えてもらえなかった。



けど、簡単な病気でないのはわかる。


簡単ならこんな部屋に小さい頃からいないだろうし、病名だって教えてくれるはず。



でも、やっぱり自分の体だ。


何処が異常なのか、嫌でもわかってしまう。


俺の場合、心臓がおかしいんだと思う。


薬のおかげで痛むことはないけど。




ふと、昨夜の出来事を思い出した。


約10年間の病院生活に飽きた俺は、初めて病院を抜け出してみた。



見事成功した脱走は、特にすることがなく。


ましてや夜中なんてこの町は店もやってない。



だから俺は、窓越しでしか見られなかった星をみることにした。



弟から聞いていた、星のよく見える公園のベンチに向かうか。



そう思い、公園に足を進めた。


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