空の彼方の君へ。
side 優斗
「あれ?優斗くん。今日は嬉しそうねぇ?何かいいことあった?」
いつもと変わらない病室。
嬉しそうな顔をしてたのか、看護婦は俺にそう聞いてきた。
「この前言ってた子と付き合えることになったんですよ」
「まあ!よかったわね!なら早く退院しなきゃね」
「・・・そうですね」
退院なんて出来るわけねぇのに。
不機嫌になった俺を知ってか知らずか、看護婦は病室を出て行った。
俺は心臓の病気。
それなのに、退院できるわけねえだろう。
心臓を治すには移植が必要。
そう言ってたのをこの前聞いてしまったんだ。
しかも、ドナーが見つからないらしく、俺の心臓はいつ発作を起こすかわからないらしい。
前なら死ぬのに後悔はなかった。
けど、今は?
今は、沙希がいる。
もし俺が死んだら、沙希は悲しむ?
沙希は優しいから、誰よりも悲しんでくれる。