空の彼方の君へ。
side 優斗
「満足したか?」
沙希を家に送り届けた後、病院に帰った俺は担当医にそう言われた。
「いや、まだです」
「だが、身体が・・・!」
「持たないでしょうね」
先生の言葉を遮ってそう言うと先生は口を閉じた。
先生は今でも反対なんだ。
『俺を退院させて下さい』なんて無茶なことに。
無茶なんてことはわかってるつもりだし、身体が危ないこともわかってる。
それでも、俺は沙希の願いを叶えることを望んだ。
だが、先生は無理の一点張りだった。
だからなんとか説得して、俺がやりたいことはやらせてもらえるようにした。
俺が、『俺、もうすぐ死ぬんでしょ?』って言ったら先生は悲しそうに、わかったと言って了承した。
多分、少しでもやりたいことをさせようと思ったんだろう。
先生はやりたいことをやってもいいが病院に帰ってくる。
そう、俺に条件を出した。
それを俺は律儀に守ったってわけ。