空の彼方の君へ。
「優斗・・・。お前、我が儘を言ったらしいな。退院させてなんて・・・。何かあったのか?」
俺の顔を見て、父さんは真剣に聞いてくる。
昔からそうだった。
病気だからって特別扱いをしない父さんは、話しがあると言えばしっかり聞いてくれて、さりげなくアドバイスしてくれた。
そんな父さんに俺はいつも尊敬したんだ。
「・・・好きな子が、出来たんだ。一生守ってやりたい、大切な子が」
俺がそう言うと父さんはビックリしたような顔をしたが、すぐに笑顔になり俺の頭をくしゃくしゃにした。
「そうか。なら、生きろ」
「おう」
それから少しして父さんは帰って行った。
ふと、考えた。
先生は俺が心臓が悪いと気づいているのを知っていたんじゃないか。
だから、病名も言ってないのに手術の話しをした。
それでも俺に病名を言ってこないのは、不器用な先生なりの優しさなんだと思う。
俺はこんなにも支えられてるんだ。
沙希と、父さん、先生、母さんとかも。
その人達に答えられるように、俺は生きのびてみせる。