空の彼方の君へ。
「優斗、ごめん・・・」
いきなりそう言った疾風に私は目を見開いた。
『ごめん』?
疾風はまた私を見つめた。
今度の視線は、とても悲しみに揺れた瞳で。
「沙希、好きだ・・・っ」
静かに、そう言った。
きっと、疾風は罪悪感でいっぱいなんだと思う。
だから、先にごめんって言ったんでしょ?
疾風は優しいから、優斗を、お兄ちゃんを裏切ったと思ってるんだよね?
でも、きっと優斗なら、バーカって言いながら微笑んでるよ?
だから、疾風は苦しまなくていいの。
私1人が苦しめば、それでいいの。
「ごめん、疾風。私は優斗のことを忘れられない」
「うん、わかってた。でも俺は、沙希に好きな人が出来るまで諦めないから」
疾風はすっきりしたように微笑んで、かっこよく去って行った。