空の彼方の君へ。



「私と沙希、帰るから〜!」


「えっ!?」



いきなり立ち上がる佐奈に、疾風は不機嫌になる。


「はあ?俺と沙希、今いい感じなんだけど」



疾風の言葉に心臓がバクバク言う。


「だから帰るんじゃん」


「ちぇっ。またね、沙希」



佐奈の言葉にふて腐れた疾風は、私にバイバイを言いながら頬にチュッとキスをした。



「な、なっ・・・!?」


「バイバイ」



笑顔で手を振る疾風。


私はこれ以上疾風を見ることができなくて、佐奈の手を引いてファミレスを出た。



「私の家行こう!」



途中で佐奈にそう言われ、ああ、佐奈の家に泊まるんだったと思い出す。


「私の家に寄って着替えとってもいい?」


「もちろん!」


そう言ってご機嫌に私の家に方向を変えた佐奈。


カフェオレ奢ってもらっちゃった!なんて喜んでる。


あ、お金払って来なかった。


疾風が払ってくれたんだろうなぁ・・・・・・。


悪いことしちゃったな。


心の中で疾風に謝りつつ、家に着いた私は着替えを持って佐奈の家に向かった。



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