空の彼方の君へ。
「さあ、寝るよっ!」
佐奈の家でご飯を食べ、お風呂を借りると佐奈がそう言ってきた。
「もう寝るの?」
まだ9時だよ?
「恋バナするに決まってんじゃん!」
「あー、はいはい」
私達は佐奈の部屋に移動した。
「よし、布団敷いたから入ろっ」
自分で敷いた様に言ってる佐奈だけど、実際敷いてくれたのは佐奈のお母さん。
とても優しくて、親切な人。
「じゃ、お泊り恒例の恋バナでーすっ」
語尾に星がついてそうな佐奈の言い方。
余り乗り気じゃない私は適当に拍手しとく。
「沙希は、疾風が好きなんですか?」
そういきなり質問した佐奈にビックリしつつ、答える。
「わかんない。でも、優斗と居た時みたいになる」
「そっかぁ〜。じゃあ、もしも。もしも優斗さんが生きてて、ほかの子とキスしてたら?」
そう聞かれたから、優斗がほかの子とキスしている姿を思い浮かべる。
「・・・なんか、ムカムカする」
「じゃ、疾風がほかの子とキスしてたら?」
「イヤ」
優斗の時より早く答えた自分にビックリする。
なんか、疾風がほかの子とキスするのを思い浮かべたくもないと思った。
隣の佐奈を見ると、優しく微笑んでいた。