空の彼方の君へ。
「大丈夫。誰も、沙希を責めたりしないから。だから、自分の気持ちに正直になっていいよ」
嗚呼。
本当は、気づいてたんだ。
私は、疾風に恋しているって。
ただ、誰かに『恋をしてもいいんだよ』そう言ってほしかったのかもしれない。
優斗。
私は、疾風が好きです。
誰にどう思われたっていい。
立ち直るのが早い?
上等だよ。
慰めてくれた優しい疾風を、私は好きになったんだから。
「佐奈、私・・・っ」
「うん、いってらっしゃい」
微笑んでそう言う佐奈に、涙が出そうになる。
「行ってきます・・・っ」
佐奈の家を出て、疾風の家に向かって走る。
会いたい、君に。
気づいた気持ちは、留まるどころか溢れるばかり。
伝えなきゃ。
『疾風が好きだよ』
私の中に芽生えた、新しい気持ちを。