空の彼方の君へ。
「こ、こだ・・・!」
小学生以来こなかった疾風の家。
10時と言う時間で迷惑かもしれない。
そう思うと、チャイムを押そうとした指が止まる。
どうしよう・・・・・・?
迷った末、疾風に電話を掛けることにした。
プルルルルっと音がやけに大きく感じる。
『はい。沙希?』
「は、やて・・・?」
いつもと変わらない疾風の声。
『うん、俺だけど・・・。どうかしたのか?』
「今、疾風の家の前に居るの。・・・出て来られる?」
『えっ、マジで?すぐ行くわ!』
その言葉とともに電話が切れた。
そして、疾風の家のドアが開く音がして疾風が出て来た。
「沙希・・・っ」
瞬間、私は疾風に抱き着いた。
「さ、き・・・?」
声からして疾風が動揺しているのがわかる。
「疾風、私。疾風のことが好きだよ・・・」
「・・・・・・え?」
「まだ、優斗のことも好きだけど、それ以上に疾風が好き」
いっぱい傷つけてごめんね?
私、まだ弱いままかもしれないけど、伝えなきゃって思ったの。
伝えたい、って思えたの。