誰を愛してるの…

写真

そのまま、彼の待つ場所へ向かった。

彼は車で私の事を迎えに来ていた。

「ごめんね 待ったでしょ?」


「大丈夫だよ。(笑)
ただ…」


「ただ?」


「本当は俺の所になんか、来てくれないんじゃないかって、物凄く不安だった。」


「駿…」

彼の真っ直ぐな気持ちと、自分の思いを言葉で伝えてくれる事に夫からは得られなかった安らぎをくれる…

私は孤独から逃げたんだ。


車に乗り走り出した。このまま誰も知らない街へ行き2人で生きていく所を探すために。

しばらく走ってから

「ねぇ?駿…どこか公園でコーヒーでも飲みながら、休まない?」


「うん、そうだね」


ちょうど、品川から川崎へ抜ける途中でまだ、都内で残っている数少ない公園の一つ…

駿が思い出したように

「そうだ、ここなら記念公園があるよ」


記念公園?

「あの国の保護地区の一つになった公園?」


「あぁ 今はかなり縮小されたけど沢山の伐採禁止の樹木がまだある唯一の森?」


「そうなんだ。
素敵ね…行きましょう。」


2号線から交差点を左折して、公園へ向かった。

公園の駐車場へ車を止めて2人で歩いた。途中、自販機で温かい飲み物を買った。

「はい、ココア。」


「ありがとう」


「なんでコーヒー駄目なの?」


「苦いの苦手なの」
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